職種別活用

社内情報をAIに入力していいか迷ったら|個人情報・営業秘密・学習利用設定の3チェック

サーバールームの通路をタブレット端末を手に歩く様子(社内データの保管・取り扱いの注意を象徴する説明用写真)
WOCinTech Chat / CC BY 2.0, via Wikimedia Commons

結論

ChatGPTやGemini、Claudeに社内の情報を入力していいか——多くの職場でルールが追いついていません。判断に迷ったら、①個人情報が含まれていないか、②営業秘密(秘密として管理している情報)にあたらないか、③使っているAIサービスの学習利用設定はどうなっているか、の3点を順に確認してください。どれか1つでも「わからない」なら、入力しないのが最も安全な下限ルールです。

まず勤務先のルールを確認する(すべてに優先)

社外のAIサービスに何を入力してよいかは、所属組織が定める情報管理規程が全てに優先します。規程がすでにある場合はそれに従い、まだ整備されていない場合も、この記事の下限ルールを自分の暫定基準にしてください。総務省・経済産業省が2026年3月31日に公表した「AI事業者ガイドライン(第1.2版)」でも、AIを業務利用する企業は「AI利用者」として、個人情報・機密情報の入力リスクとAI出力の正確性確認への対応が求められています(出典参照)。

チェック1:個人情報が含まれていないか

個人情報保護委員会は2023年6月2日、生成AIサービスの利用に関する注意喚起を公表しています。要点は、個人情報取扱事業者が生成AIに個人情報を含むプロンプトを入力する場合、特定された利用目的の範囲内であることを確認する必要があるという点です。あらかじめ本人の同意を得ずに、個人データを含むプロンプトをAIサービスに入力し、その情報が回答生成以外の目的(学習利用等)で扱われる場合、個人情報保護法違反となる可能性があると明記されています(出典参照)。顧客名簿・応募者の履歴書・従業員の人事評価など、個人が特定できる情報は特に注意してください。

チェック2:営業秘密(秘密として管理している情報)にあたらないか

自社の未公開情報を生成AIに入力する最大のリスクは、法律上の「営業秘密」としての保護(秘密管理性)を失う可能性があることです。秘密として管理する意思が組織内で明確に示され、認識できる状態が保たれていて初めて「営業秘密」として法的に保護されます。機密保持義務を結んでいないAIサービスに、価格戦略・取引条件・未公開の開発情報などを入力する行為は、この管理状態を崩すリスクがあります(出典参照)。

チェック3:使っているAIサービスの学習利用設定を知っておく

「入力した内容がAIの学習に使われるか」はサービスとプランによって既定値が異なります。2026-07-16時点で確認できた各社の公式情報は以下の通りです(設定は変わりやすいため、契約前に必ず公式ページで最新を確認してください)。

サービス個人向け(無料・下位プラン)法人向け(Team/Enterprise等)
ChatGPT(OpenAI)既定でモデル改善に利用される場合がある。設定の「データコントロール」またはTemporary Chatでオプトアウト可能Team・Enterprise・API(2023年3月以降)は既定で学習利用なし
Claude(Anthropic)公式ページの説明では「利用を許可した場合のみ」学習に使うとされる(2025年8月の規約改定で選択の仕組みが導入)。許可した場合は保持期間が最長5年に延びるClaude for Work等の契約プランは対象外(学習利用なし)
Gemini(Google)既定で「アクティビティの保存」がオン。オンの間は一部の会話が人間のレビュアーにも確認され、Googleサービスの改善・AIの学習に使われうる。オフにすると学習対象外(ただし直近72時間は提供のため一時保存)Google Workspace の Business/Enterprise 向け Gemini は管理者設定に従う

いずれのサービスも、個人向けプランはデフォルトで学習利用に使われる可能性があるという前提で使うのが安全です。オプトアウト設定を理解した上で、それでも機密情報は入れないのが基本です。

会社にルールがまだない場合の下限ライン

  • 顧客が特定できる氏名・連絡先・契約条件は入れない
  • 未公開の価格・契約条件・開発情報は入れない
  • 入力する前に「これが漏れたら困るか」を自問する
  • 迷ったら、固有名詞を伏せた要点だけに書き換えてから入力する

この基本方針は、経理・営業・人事などタスク別のガイドでも共通して使っています。仕事でのAI活用の始め方経理担当者のためのAI活用ガイド営業担当者のためのAI活用ガイド人事担当者のためのAI活用ガイドもあわせてご覧ください。

注意

この記事は一般的な情報の整理であり、個別の法的判断ではありません。営業秘密や個人情報保護法の解釈が事業に関わる場合は、社内の法務担当者または弁護士に確認してください。

Sources

  1. 生成AIサービスの利用に関する注意喚起等について(個人情報保護委員会)
  2. AI事業者ガイドライン(第1.2版・総務省/経済産業省)
  3. How your data is used to improve model performance(OpenAI公式ポリシー)
  4. Updates to our Privacy Policy(Anthropic Privacy Center)
  5. Gemini アプリのアクティビティを管理、削除する(Google公式ヘルプ)

FAQ

個人名を出さなければ何を入力しても大丈夫ですか?
いいえ。個人名を伏せても、価格戦略や未公開の契約条件など「営業秘密」にあたる情報は別のリスクがあります。個人情報・営業秘密・学習利用設定の3点を別々に確認してください。
有料プランなら入力しても安全ですか?
有料の個人向けプラン(Plus/Pro等)でも学習利用の既定値はサービスにより異なります。「学習に使われない」と明言されているのは主にTeam・Enterprise等の法人契約です。プラン名だけで判断せず、必ず公式ページの記載を確認してください。
会社にAI利用ルールがまだありません。何を基準にすればいいですか?
この記事の「下限ライン」(個人が特定できる情報・未公開の価格や契約条件を入れない)を暫定基準にし、並行して社内にルール整備を提案するのが安全です。
AI DOJO編集部
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本記事は情報提供のみを目的とし、導入・契約・法務に関する助言ではありません。AIツールの料金・機能・規約は頻繁に変わるため、行動前に必ず記事内の公式リンクでご確認ください。社内情報・個人情報の取り扱いは、常に勤務先のルールを優先してください。