プロンプト

要約プロンプトのコツ|長文はそのまま貼らず「区切ってから」渡す

オフィスでノートパソコンに向かって作業する会社員のイメージ(長文を区切って要約するAI活用を象徴する説明用写真)
WOCinTech Chat / CC BY 2.0, via Wikimedia Commons

結論

要約プロンプトで一番つまずきやすいのは、言葉選びではなく材料の渡し方です。長い資料をそのまま1回で貼って「要約して」と頼むと、分量に見合わない浅い要約が返ってきたり、途中の重要な部分が抜け落ちたりしがちです。対策はシンプルで、①資料を意味のまとまりで区切ってから渡す、②区切ったものを先に事実だけ抜き出させ、③最後にまとめて統合する——この二段構えです。プロンプトの基本的な型(役割・目的・材料・形式)はプロンプトの基本で解説していますので、ここでは「材料」の渡し方だけを深掘りします。

なぜ「そのまま貼って要約して」だと物足りなくなるのか

OpenAIが公式に公開しているプロンプト例集(Cookbook)でも、長い文書(1万トークン程度以上)をそのまま渡して要約させると、文書の長さに比例しない、相対的に短い要約しか返ってこない傾向があると説明されています。対策として案内されているのが、文書をいくつかの断片(チャンク)に分割し、断片ごとに要約したうえで、それらを組み合わせて全体の要約を作る方法です。分割の数や大きさを調整することで、欲しい詳しさのレベルもコントロールできます(出典参照)。

もう一つの理由が、長い文章の「途中」にある情報が見落とされやすいという傾向です。スタンフォード大学などの研究チームが発表した論文「Lost in the Middle: How Language Models Use Long Contexts」では、AIモデルに長い文脈の中から関連情報を探させる実験を行ったところ、関連情報が文章の最初または最後にあるときは成績が良く、途中にあるときに成績が大きく落ち込むという結果が報告されています。これは対応できる文字数が大きいモデルでも見られる傾向とされています(出典参照)。つまり「全部貼れるから」といって、そのまま流し込むことが常に安全とは限りません。

コツ1:長文は「意味のまとまり」で区切ってから渡す

契約書・議事録・レポートなど、章や見出しがある資料は、その単位で区切るのが基本です。見出しがない長文(メールの束、聞き取りメモなど)でも、話題が変わるところで区切れば十分です。区切ったら、まずは断片ごとに「事実だけ」を抜き出させます。憶測で内容を補わせないことが、後の統合の精度を左右します。

コピペプロンプト(長文を区切って要点を抜き出す)役割目的材料形式
役割: あなたは長文の資料から要点だけを漏らさず抜き出す担当者です。
目的: 資料全体を後で1つの要約にまとめるため、まずこの断片の要点を正確に抜き出したい。
材料: 以下は資料の一部(全体のうち何番目か・章タイトルなどが分かれば添えてください。社外秘の固有名詞は勤務先のルールに従い伏せてください):〔ここに貼り付け〕
形式: 主要な事実・数字・決定事項を箇条書きで5〜8個。資料に書かれていない内容は書き加えず、不明な点は「記載なし」としてください。

コツ2:抜き出した断片を「統合」してから仕上げる

断片ごとの抜き出しが終わったら、それらを1つにまとめる工程を別のプロンプトとして分けます。「抜き出し」と「まとめる」を同時にやらせると、資料の後半になるほど雑な要約になりやすいためです。工程を分けることで、それぞれの精度を確認しながら進められます。

コピペプロンプト(分割した要点を1つに統合する)役割目的材料形式
役割: あなたは複数の要点リストを1つの要約にまとめる編集担当者です。
目的: 断片ごとに抜き出した要点を、重複や矛盾を整理しながら1つの要約に統合したい。
材料: 以下は各断片の要点リストです(元の資料の順番通りに並んでいます):〔ここに貼り付け〕
形式: 話題ごとに見出しを立てて整理し、全体で400字以内。同じ内容が複数箇所にある場合は1つにまとめてください。

コツ3:仕上げる前に「事実の抜き出し」と「元の資料」を見比べる

要約は便利な一方で、AIが資料に書かれていない内容を自然な文章としてもっともらしく補ってしまうことがあります。コツ1のプロンプトで作った「抜き出しリスト」は、そのまま検算表として使えます。統合した要約を配る前に、抜き出しリストの数字や固有名詞を元の資料と見比べる一手間を挟むと、誤りに気づきやすくなります。特に金額・日付・人数など、間違えると影響が大きい数字は必ず元の資料で裏取りしてください。

注意:材料に機密情報を含める前に

このページのプロンプトはいずれも「材料」欄に資料の本文を貼り付ける前提です。契約書・議事録・顧客とのやり取りには、取引先名や個人情報など機微な情報が含まれることが少なくありません。社外のAIサービスに入力してよい範囲は、まず勤務先の情報取り扱いルールが最優先です。判断に迷ったら社内情報をAIに入力していいか迷ったらを確認し、それでも不安な項目は入れないのが安全な下限です。

次に読む

出典

  • OpenAI Cookbook「Summarizing Long Documents」: https://developers.openai.com/cookbook/examples/summarizing_long_documents
  • Liu, N. F. et al.「Lost in the Middle: How Language Models Use Long Contexts」(arXiv:2307.03172): https://arxiv.org/abs/2307.03172

Sources

  1. Summarizing Long Documents(OpenAI Cookbook公式)
  2. Lost in the Middle: How Language Models Use Long Contexts (arXiv:2307.03172)

FAQ

長文を要約するとき、何文字くらいで区切ればいいですか?
厳密な正解はありませんが、章や見出しなど「意味のまとまり」で区切るのが基本です。1回で渡す量が多すぎると内容の一部が抜け落ちやすくなるため、資料の構成に沿って区切るのが安全です。
分割せずに全部貼ってもいいのでは?
ツールによっては貼れてしまいますが、文書の長さに比例した詳しさの要約が返ってこないことがあるほか、長い文章の途中にある情報が見落とされやすい傾向が研究でも報告されています。重要な資料ほど、区切って渡すことをおすすめします。
要約結果が事実と違っていないか、どう確認すればいいですか?
先に「事実だけを箇条書きで抜き出す」プロンプトを挟み、その抜き出しリストを元の資料と見比べてから統合させると、誤りに気づきやすくなります。最終的な内容の正しさは必ず人が確認してください。
AI DOJO編集部
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本記事は情報提供のみを目的とし、導入・契約・法務に関する助言ではありません。AIツールの料金・機能・規約は頻繁に変わるため、行動前に必ず記事内の公式リンクでご確認ください。社内情報・個人情報の取り扱いは、常に勤務先のルールを優先してください。